1分でわかるカジノ問題

私たちが横浜へのカジノ誘致に反対する理由

そもそものカジノのビジネスモデル

そもそもカジノは何も生産的なものを生み出さない、客に負けさせることで成立するビジネスモデル。カジノの経済的利益は短期的で計測可能ですが、その社会的コストは長期的に顕在化し計測が困難である。

市長の強引な進め方

そもそも林市長は「横浜へのカジノ誘致は白紙」の立場で当選。その市長は、2019年8月に突然「カジノ誘致」を表明。署名活動まで起こっているのに、市民の声を聞く姿勢がありません。

地域への悪影響

ギャンブル依存症の増加、地域の風俗環境・治安の悪化、青少年の健全育成への悪影響など、地域への悪影響は避けられません。

コロナ禍で進める政策か?

コロナ禍で外国人観光客の足が止まり、世界中のカジノ事業者が大変苦しい状況です。見込んでいた税収が入らず、負の社会コストが経済効果を大きく上回る可能性があります。コロナがもたらすこの事業への悪影響(試算)は、横浜市は行っていません。

 

もっと詳しく知りたい人は?

カジノ誘致反対の理由

  1. そもそものカジノのビジネスモデル
  2. 林市長の強引な進め方(市民の声をきかない)
  3. ギャンブル依存症(全国320万人)の増加
  4. 反社会勢力の関与や、マネーロンダリング(資金洗浄)
  5. 青少年育成への悪影響
  6. 地域の風俗環境・治安の悪化
  7. コロナ禍で税収があがるの?
  8. ギャンブル税収のへの財政依存(財政規律の乱れ)
  9. その他

1.そもそものカジノのビジネスモデル

そもそもカジノは何も生産的なものを生み出さない産業。客に負けさせることで成立するビジネスモデルです。800億円超の税収を得るためには、それを超える多額のカジノ消費、つまり客の負けが必要となるビジネス構造です。高齢者の老後資金や、働く世代の子育て・生活の資金を奪い、ギャンブル依存症を増やして借金まみれにさせ、家庭を崩壊させる政策。それを横浜市が率先して推進する政策でしょうか?

カジノ推進派が主張する経済的利益は短期的で計測可能ですが、その社会的コストは長期的に顕在化し計測が困難です。カジノはカジノ客への報奨制度(コンプサービス)で客をリピートし、施設内に客とお金を集めるカニバリゼーション(共食い)が起こり、地域経済の活力を吸収します。地域社会の消費を減少させ、投資家利益などにより地域外や国外に資金が流失していきます。

IR(統合形リゾート)施設内でのカジノ施設の面積は全体の3%以下。しかし、その少ない面積で、IR施設全体の収益の8〜9割の収益をあげる仕組みです。つまり、劇場・レストラン・国際会議場など、華やかなIR施設を経営する為には、賭博場であるカジノ施設で大きな収益をあげる必要があるのです(それだけの、カジノでのお客の「負け」を必要としています)。賭博場でお客が「負けたお金」を原資にして、横浜のまちづくりをする?それが横浜市として、正しいまちづくりの政策と言えるでしょうか?

 

2.林市長の強引な進め方(市民の声をきかない)

そもそも、林市長は「横浜へのカジノ誘致は白紙」の立場で当選しました。が、この間、「カジノ誘致の是非」を市民にまったく聞いていません。カジノ推進派が多数を占める議会で相談しているから、間接的に市民の声を聞いている、という詭弁をしています。

その林市長は、2019年8月に突然「カジノ誘致」を表明。横浜へのカジノ誘致ありきで、強引にこの政策を進めています。今後、住民投票を求める横浜市民20万筆の署名をもとに、「カジノの是非を決める横浜市民の会」が12月23日に市長へ住民投票実施の直接請求を求めます。それを受けて、林市長が住民投票条例に「賛成」か「反対」の意見を付して、住民投票の条例案が議会に送る事になっています。が、市長がこの条例案に「反対の意見」を付したら、「市民の声をまったく聞くつもりがない」と言う事になり、大変大きな問題です。しかし、現状、そうなりそうな気配もあります。

林市長は10月16日の記者会見で「住民投票実施の場合、その意見に従う」という発言をしました。が、先日(12月9日)の議会では、これとは異なるあやふやな答弁をしています。この点も大きな問題であり、追求が必要です。

 

3.ギャンブル依存症(全国320万人)の増加

ギャンブル依存症の疑いがある成人は約320万人(厚生労働省・2107年調査)。
成人人口の3.6%(28人に1人の計算)にのぼります。
ギャンブル依存症は、本人に病気という自覚症状がない「否認」の病気であり、「隠す病気」だと言われています。一見普通で、見た目にも何もわかりません。しかし、借金と尻拭いを繰り返す段階で家族が認識し、さらに追い込まれた段階で、ようやく自助グループ等に参加し治療を受けるようになります。

ギャンブル依存症は、家計の窮乏、債務の負担、不払いや不正、高利貸しへの依存と自己破産、仕事と家庭の喪失、児童虐待などをもたらします。が、問題ギャンブラーは問題を隠し、嘘をつくことで事態を深刻化させ、本人ばかりか家庭や地域社会にまで影響を与えます。私は、こんな事が、「わがまち横浜」で絶対起きて欲しくない!と強く思っています。

病気の性質上、有効な薬や治療法がなく、治ったと思っても、また再発を繰り返す病気です。大変たちが悪く、やっかいな病気と言えます。会社の金の横領や使い込みなど、重篤で社会的に影響が大きい事件に繋がる病気であります。
あの事件の裏に、ギャンブル依存症の問題あり、という事で、重篤な事件に繋がる入口の1つとなっている事は間違いありません。

重篤な事件は以下ブログ「2017年1月25日」をご参照下さい
http://www.minnano-yokohama.com/blog/?p=1744

政府や自治体(横浜など)は十分な依存症対策をすると言っています。しかし、財源も予算も支援策も人員もまったく足りていません。依存症回復施設を運営するある団体からは、「ほぼ自助の力」で団体の活動を維持している状態である。という生の声を聞いています。また、横浜市内のある回復施設の家族会では「夫がギャンブルにのめり込み、先祖伝来の土地など、すべての資産を失いそうになった」という大変重篤な事例の話も聞いています。

 

4.反社会勢力の関与や、マネーロンダリング(資金洗浄)

カジノ誘致によって経済効果など「正の側面(表)」がある反面、ギャンブル依存症の増加や地域への悪影響など「負の側面(裏)」が発生します。わかりやすく例えると、「コインの表と裏の話」です。カジノ誘致でどちらがでるかは、まさに「賭け」です。

【コラム】要職を務めた現職の国会議員(秋元司)が逮捕

2019年末に収賄罪容疑で逮捕された現職の国会議員・秋元司容疑者は、2020年8月、IR汚職、証人買収の疑いで再逮捕されました。760万円相当の賄賂を受け取った収賄罪で起訴され、公判に向け保釈中の身でありながら、裁判で虚偽の証言をする報酬として現金2千万円の供与を申し込んだ疑い。

秋元司議員は元内閣府副大臣(IR担当)。要職を務めた現職の国会議員の保釈中の再逮捕は異例であり前代未聞。IR誘致の裏側でどのような事が行われたのか?詳細は今後の捜査や公判で明らかになります。

反社会勢力の関与は、大変大きな問題です。上記は北海道へのカジノ誘致に絡んで起こった事件です。カジノ誘致の裏側で、現職の国会議員を巻き込んで汚職が行われた事は、我々に大きな衝撃を与えました。ちなみに、この後、北海道の鈴木知事は「カジノ誘致によるイメージの悪化」などを理由に、北海道へのカジノ誘致を断念しています。

 

5.青少年育成への悪影響

2004年・アメリカでの大規模な調査で、「カジノに近い住民ほどカジノをする回数が増え、常連客ほど問題ギャンブラーになる危険が高い」という結果が報告されています。調査によると、カジノ施設から10マイル(≒16km)以内の住民はその外側に住む住人の2倍の依存症となっている、と報告されています。

カジノ推進派の人達は、「雇用が発生する」と喜んでいます。が、逆に、アメリカでは従業員のギャンブル依存の高さが問題となっています(カジノ内の労働者が問題ギャンブラーになる危険性にさらされています)。

つまり、「近くに誘惑(カジノ)がある環境」、というのは良くない事なのです。神奈川県は「未病」を一生懸命訴えていますが、「カジノ施設をつくらない」事が、ギャンブル依存症などの病気や、問題を起こさない為の、一番の解決策です。

家族がギャンブル依存症になったことから母子家庭、貧困家庭になるケースもあります。そうなれば、進学を諦めるなど子供への大きな影響が出ます。あるアメリカのカジノがある地域では、若い世代のカジノ経験率が高く、インターネットカジノの餌食となり、21歳以下でも問題ギャンブラーが拡がっている。という結果が報告されています。

「青少年の健全育成に悪影響がある施設」を横浜の庭先にわざわざ作って欲しくない、という意見。子育てまっただ中の世代の皆さんだけでなく、子育てを終えた、我々の先輩世代の皆さまからも、多数頂いています。

 

6.地域の風俗環境・治安の悪化

カジノと風俗産業はセットで、施設の近隣では風俗産業が盛んになります。諸外国の事例でも起こっています。また、事業者の言い分を聞いて、その為の規制緩和が必要になるかもしれません。

先に書いたとおり、依存症の増加によってお金をめぐるトラブルが増え、重篤な犯罪が増加する可能性があります。家計の窮乏、債務の負担、不払いや不正、高利貸しへの依存と自己破産、仕事と家庭の喪失、児童虐待など。また、カジノ経営が上手くいかなくなって、地域経済全体が悪化する懸念もあります。それに伴って、地域環境の悪化や乱れ(例:家庭崩壊、家族の離散、家の差押など)が益々進んでいく懸念を考えておかなければなりません。

韓国のカンウォンランド(自国民向けのカジノ施設)の人口の激減や、米国のアトランティックシティの地域経済の衰退は、実際に起った事実です。

 

7.コロナ禍で税収があがるの?(経済効果があるの?)

【コラム】コロナ禍でカジノ事業者苦戦

コロナ禍で海外のカジノ事業者の苦戦が続いています。営業自粛や縮小、世界全体の観光産業の後退や三密産業への風当たり。資金繰りに窮し、資産売却や人員整理、国からの資金援助要請など、生き残りをかけて「守りの経営」にシフトしています。

例えば、世界最大のカジノ運営会社・米ラスベガス・サンズ社は、2020年5月に、日本のカジノPJへの投資断念を発表しています。

日本へのカジノ投資は超巨大投資。1件あたり5,000億円から1兆円の投資と言われています。が、このコロナ禍でカジノ事業者の投資戦略も、大幅な方向転換が迫られています。

コロナ禍で、観光客の動きがSTOPしています。従来どおりのカジノの売上は見込めません。

横浜市の税収見込み(800億円超)試算は、委託業者任せの数字。その根拠に疑問が残ります。数字の根拠を問う「議会での質問」には、横浜市は何も答えていません。また、この数字はコロナ発生前の数字です。コロナの影響を考慮した数字の再試算と、その数字の市民への説明が必要です(市側はやる気がないようですが・・・)。

 

8.ギャンブル税収のへの財政依存(財政規律の乱れ)

カジノ事業者が儲かれば、設置自治体に税収が入る。一方で、その税収に依存し、カジノ事業者の意向にそった政策をせざるをえなくなる、という問題があります。

事業者にカジノに収益を上げさせるためには他国・他地域との競合に勝つために投資を続け、その結果ギャンブルにハマる人も増え続けます。逆に、カジノが経営不振になれば自治体が損失補填し、客を集めるために規制を緩めざるを得なくなる。すると地域の負担がさらに増える事になる。という悪循環がある事を忘れてはなりません。

 

9.その他

見直しを求める「要望書」提出

このコロナの状況下。2020年4月28日には、事業の見直しを求める「要望書」を会派で提出しています。

  1. 横浜市での不要不急の事業は一旦停止すること
  2. 国への区域整備受付期間延長を申請すること
  3. 感染拡大によるIR事業への影響評価を行うこと
  4. 申請するIR事業者の業況評価を行うこと
  5. 市場収支見込の最試算を行うこと
  6. 負のコストの試算を行うこと
  7. IR説明会を全区で実施すること

我々会派からのこれらの要望に対して、横浜市はまったく回答していません。

つまり、コロナが発生し、状況が一転したにも関わらず、その影響を何にも考えていないのです。コロナの影響を評価し、それを市民に説明する事は、横浜市側の義務です。

 

劇場建設に多額の予算(このコロナ禍で)

劇場整備に615億円!今必要か?

林市長は昨年から検討委員会を設けて、2,500席規模の新たな劇場(オペラハウス・バレエ専用劇場)を整備しようとしています。これまで土地の評価額135億円が示されていました。これに加えて、9月23日に行われた基本計画検討部会において、概要建設費が460億円、調査設計に20億円、合計で約480億円がかかる事が示されました。みなとみらいの予定地と建築費で合計615億円の巨額の事業費となります。年間の運営費の公費負担(税金負担)は約14億円程度と試算されており、劇場運営期間中は将来に渡って必要となります。

コロナ禍で財政状況が悪化し、来年度予算(令和3年度)は▲970億円の収支不足が示され、全事業の見直しが必要です。9月に示された長期財政集計では、2065年度には、人口減少等により▲2,160億円の財政不足が見込まれています(中位推計)。

今年度(令和2年度)予算には、劇場整備2億円、カジノ誘致4億円、合計6億円の調査費用を計上。このコロナ禍でも、これを修正せず、あくまでも誘致や建設の推進をやめようとしていません。

「どうしても横浜に必要か?」「同じような施設が東京にもあるが、そちらで見ればいいのではないか?」という議会での質問対して、林市長は「文化のため」とか、「東京ではなくて、(オペラを)横浜で見たい」という主旨の答弁をしています。

コロナ禍で市民の皆さんの生活は一転しました。社会も大きく変わります。この大変な状況下で、また、横浜市の財政も大変苦しい状況下で、多額の税金をかけて取り組むべき事業であると言えるでしょうか?

建設概要費  460億円

調査設計    20億円

土地代    135億円

合計     615億円

 

新市庁舎の建設に多額の予算(このコロナ禍で)

2020年10月の決算特別委員会(総務局)
Q(市会議員):新市庁舎の移転がこのタイミングになってしまった事は誰も予想が出来なかった事です。が、この移転がどれ程の税金負担になるのか?市民に示し説明する必要があります。土地代を含めた新市庁舎整備にかかった事業費、及び今後発生する税金負担の見込みは?

 

A(新市庁舎整備担当部長):設計・建設費は、本体工事の約679億円、それから議会部分の内部整備工事の約34億円、合計で約713億円。また、特殊設備工事費やシステム整備費、什器・移転費等の合計は、合計約112億円を見込んでいます。なお、平成19年度及び20年度に取得した土地代は、約168億円です。

今後の管理運営費は、光熱水費等を含めて約24億円の歳出を見込んでいます。一方、歳入として商業施設の賃料など約4億6千万円を計上しています。

 

内訳  設計・建設費       679億円

議会部分の内装整備工事        34億円

システム整備費、什器・移転費等  112億円

土地代              168億円

合計               993億円

 

カジノ問題のスケジュール

2017年7月 「カジノ誘致白紙」で林市長当選

2019年8月 林市長「横浜へのカジノ誘致」を、突然表明

2020年9〜11月 カジノ住民投票条例・署名活動(私は誘致反対)

横浜市民208,073筆の署名を横浜市へ提出

2021年1月 横浜市会・臨時会で、住民投票条例の可否を議論(予定)

※反対会派の多数で住民投票条例が否決される可能性あり

※どの会派、どの議員が反対するのか?市民の注目が集まります!

2021年8月 横浜市長選挙

※横浜へのカジノ誘致が、最重要争点に

2021年10月〜 国へのIR申請受付スタート

※コロナ禍で受付スタートが9ヶ月延期

2023年4月 横浜市会議員選挙